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自己破産は誰でもできるわけではないの?

質問 両親はすでに他界していて、頼れる人が兄しかいません。
数年前から借金の返済に苦しめられていて、これまでは何とか凌いできましたが、複数ある借入先のうち1つの返済をはじめて滞納してしまいました。
当然のごとく支払うように催促がきて、友人たちにもお金を貸して欲しいと頼みましたが、いろいろな理由をつけて断られて兄に相談に行きました。
すると、返済分のお金は貸してもらえたのですが、家計は兄のお嫁さんが握っていてこれ以上は自分ではどうにもすることができないと言われてしまいました。
仕方ないので自己破産するしかないと告げると、借金を作った理由などによっては自己破産できない場合があるみたいだからまずは弁護士のところに相談に行った方がよいと言われました。
私的には自己破産が最後の砦だと思っていたので、もし自己破産ができないならどうしたらよいかとても心配です。
自己破産は誰でもできるわけではないのでしょうか?もし自己破産できない場合の対処法があれば、それについても教えて欲しいです。あと、自己破産しない方がよいと考えられるのはどんなケースなのかも教えてください。
yajirusi
A

自己破産できない理由は複数あります

結論からお伝えすると、自己破産は誰でもできるわけではなく、自己破産できない理由は複数あります。
まず、債務の支払いが可能な状態なら自己破産できません。自己破産は完全に借金の返済ができなくなっている状態でなければいけなくて、例えば預貯金や財産があって返済できるようなケースでは、それらで返済をすることを求められます。
また、今すぐには借金を返せない状態でも、一時的な失業などで返済ができないようなケースでは自己破産が認められません。
借金の額が100万円以下などの小額の場合も、自己破産が認められない可能性が高いです。
免責不許可事由に該当した場合も、自己破産は認められません。免責不許可事由に該当する主な例としては、ギャンブルや浪費によって借金をしたケースです。
他にも、返済できる見込みもないのに自己破産を前提としてお金を借りた場合や、裁判所に虚偽の説明を行ったり、特定の債権者の借金のみ優先して返済したりした場合も免責不許可事由に該当します。
ただし、免責不許可事由に該当してもそれが悪質でないと裁判所が判断すれば免責が認められることもあります。
自己破産を裁判所に申し立てる際には、自己破産手続を進めるための費用として一定金額を裁判所に納めなくてはいけません。この費用は予納金と呼ばれていますが、予納金が支払えない場合も自己破産することができません。
ただし、予納金を一括で負担できない場合の対処法として、弁護士に依頼し予納金を積み立ててもらったり、国が設立した法的トラブルの総合案内所である法テラスを利用して予納金を一時的に立て替えてもらったりなどの方法も用意されています。
自己破産は何度でも繰り返し行うことができますが、過去7年以内に自己破産や個人再生している場合は自己破産ができないこととなっています。
自己破産をしない方がよいと考えられるケースとしては、債務が非免責債権ばかりのときや、自宅を残しておきたい場合、職業や資格の制限に対応できないときなどが挙げられます。
自己破産しても全ての債務の返済義務がなくなるわけではありません。免除されない債務のことを非免責債権といいますが、それに該当するものとして「税金」「損賠賠償金」「罰金」「社会保険料」「公共料金」「養育費」「慰謝料」「従業員に対する賃金」などが挙げられます。
自己破産すれば不動産や動産を残すことはできないため、自宅の他にも車などの財産を残したい場合は自己破産以外の方法を考えた方がよいです。
自己破産手続中は、特定の職業や資格を一定期間喪失することになります。制限を受ける特定の職業や資格には、弁護士や司法書士、税理士などの士業全般、証券会社などの外務員、保険外交員、警備員などが挙げられます。ただし、裁判所から免責決定されれば資格を取り戻すことができます。
自己破産できない場合は、任意整理や個人再生などの他の債務整理を検討しましょう。
また、非免責債権については、役所に相談することで、支払方法を変更するなど柔軟に対応してもらえることが多いです。
借金の額がそれほど大きくない場合や、職業や資格を一時的に制限されると困るようなケースにおいては、自己破産の代替え策として任意整理が向いています。
安定した収入が見込めるなどで完全に支払不能状態でない場合は、任意整理できる可能性が高いです。任意整理というのは、返済状況を見直して利息を削減させることができる手続で、元本のみの返済で完済を目指します。
免責不許可事由に該当して自己破産できないケースや、自宅などの資産を残したい場合においては個人再生を検討しましょう。
個人再生とは、債務負担を5分の1から10分の1など大幅に軽減させることができて、返済計画を立て生活再生を図り返済していく救済制度です。
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