家などの財産は手放したくないけど借金は減らしたい、安定した収入はあるけど多額の借金を抱えて困っているという方には個人再生が向いているといえます。
自己破産を選択すれば借金を0にすることができますが、家などの財産を失うことになります。個人再生では条件が合えば住宅ローンを保持したまま他の借金の整理ができるので、どうしても自宅は残したいというケースでは個人再生が適しています。
任意整理は債務整理の中でも裁判所を通さなくてもよい最も手続きが簡単な方法ですが、借金の額が多過ぎる場合は分割払いでは対応できない可能性が高いため、個人再生が向いているといえます。
個人再生を選べば自宅を残すことはできますが、住宅ローンは今まで通りに支払い続けなくてはいけないため、本当にそれが現実的なのかをよく考えて判断しなくてはいけません。
個人再生は債務者側にとって家などの財産が残せるとても有利な制度ですが、全ての債務が大幅に圧縮されるわけではなく、しっかりと再生計画を立ててそれを遂行する必要があるので、決して楽な制度ではないことは承知しておく必要があります。
自己破産をすると周りからみられる印象も悪くなるから個人再生を選択しようとする方もおられるようですが、自己破産は嫌だからという安易な気持ちで個人再生を選ぶことは好ましくありません。
個人再生は自己破産とは違って、制度を利用した後に債務者の自助努力を促す手続きです。
資産がある人が自己破産をすれば、破産管財人が選任されて手続き決定後には財産の管理処分権は管財人に委ねられることになります。一方で個人再生手続きにおいては、再生計画案が認可されると裁判所の手続きは終結し、個人再生委員もいなくなります。
つまり、その後再生計画を履行できるか否かは債務者本人の努力にかかっているのです。しっかりとした覚悟を持ってこの制度に向き合わないと、借金を完済することは容易ではないことは肝に銘じておかなくはいけません。
個人再生は、借金を大幅に減らすことができる民事再生法に規定された法的手続きです。自己破産や任意整理と比べて認知度は低いですが、条件さえ合えば借金問題を有利に解決できる債務者にはとてもありがたい制度です。
任意整理と自己破産の間をとった債務整理の方法で、両者のいいとこ取りをしたような制度であることがメリットといえます。
例えば、自己破産の場合は「免責不許可事由」が存在していて、借金を負った理由がギャンブルや浪費などである場合は、借金の整理ができないことがありますが、個人再生ではこのような決まりはありません。
個人再生の最大のメリットは、自宅を残せることです。自己破産の場合は、必要最低限の財産以外は全て換金処分されてしまいますが、個人再生なら条件が合えば家以外の財産を残すことも可能です。
このように、メリットが多い個人再生ですが、個人再生は誰でも利用できるわけではありません。利用するには厳しい条件をクリアしなくてはいけないことがデメリットといえます。
個人再生には「小規模個人再生」と「給与所得者再生」がありますが、いずれの場合も安定した収入があることが求められます。
個人再生を利用することを裁判所から認められるためには、再生計画案を提出し、それが現実的なものでなくてはいけません。再生計画には「最長弁済期間」「最低弁済基準」「清算価値保障原則」の定めがあり、これらをクリアした内容でなければいけません。
個人再生の手続きはとても複雑で、弁護士などの専門家に依頼する必要があることも覚えておく必要があります。
まずは地方裁判所に申し立てを行い、次に裁判所が強制執行や督促等の中止命令を出して、その後に再生手続きが開始されます。個人再生ではその後もいくつかのステップを踏まなくてはいけなくて、条件によって工程も異なり、時間がかかる手続きです。
個人再生に限ったことではありませんが、実行すると信用情報機関に事故情報として載ることも、デメリットとして認識しておく必要があります。