離婚Q&A
結婚した後に、夫が実は性的不能であることわかったんですが、それを理由に離婚できるのでしょうか? | |
結婚のときに、性的不能であることを相手方に告げないのは、 信義則に反し不法行為になることもあります 。この場合、民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由 」にあたり、離婚が認められる可能性があります。 |
妻の両親とうまくいってません。離婚できないでしょうか? | |
判例において、 夫の両親と妻が不仲であるにもかかわらず、夫がこれについて無関心な態度をとり、今後も態度を改めようとしないケースで、妻からの離婚請求を認めた 事例があります。ケースバイケースですが、質問者の場合も離婚が認められる可能性はあります。 |
妻との婚姻生活は破綻し、7年前に別居しました。その後、私は別の女性と知り合い、その女性が妊娠したこともあり、妻と正式に別れて彼女と結婚するつもりですが、妻は離婚に応じません。このような場合、離婚は認められないのですか? | |
一般に 有責配偶者(婚姻関係を破綻させる原因を作った配偶者)からの離婚請求は認められないのが原則 です。ただし、婚姻関係が完全に破綻した後 に、配偶者以外の者と肉体関係をもった夫からの離婚請求について、それが婚姻関係破綻の原因になったわけではないとして、その請求が認められた 例はいくつもあります。質問者の場合も、別居している期間が長いことから、妻以外の者と肉体関係をもったのは婚姻関係が完全に破綻した後であるとして、離婚の請求が認められる可能性はあります。 |
夫と別れたいのですが、結婚後は夫の姓を名乗り、仕事でもこの名前を使用してきました。なので離婚後も夫の姓を名乗りたいのですが・・・。 | |
離婚の日から3ヶ月以内に届け出ることで、離婚前の氏を称することができます 。これについて相手方の許可は必要ではなく、届出のみでOK です。ちなみに、婚姻によって氏を相手方のものに変更した者(配偶者の戸籍に入った者)は、離婚によって相手方の戸籍から除籍されます。このとき、除籍された者は、従前の戸籍(婚姻前の戸籍)に入るか、新戸籍を作るかを選択できるのですが、質問者のように婚姻中に称していた氏を届出によって離婚後も称する者は、必ず新戸籍を作らなければなりません 。また、戸籍には3世帯が同居することはできないので、妻が婚姻前の戸籍に戻り、更にその戸籍に妻の子供が入るということはできません。この場合も妻の新戸籍を作る必要があります。 |
離婚後、息子(13歳)の氏はどうなりますか?一人息子なので私の姓を名乗らせたいのですが、妻は離婚の条件として、息子の親権を妻に渡すことを主張しているので、その関係で息子の氏がどうなるのか気になってます。 | |
両親の離婚によって子の氏に変更はありません 。例えば、両親が離婚し、妻が新戸籍を作成し、夫の戸籍から除籍されても、子は夫の戸籍に入ったままです。これは、妻が離婚後、子供の親権者になった場合でも同じです。ですから、質問者の場合、奥さんが離婚後、息子さんの親権者になっても、息子さんの氏は質問者と同じです。ただし、妻が親権者となった場合、妻が離婚後、親権者として家庭裁判所に子の氏変更許可申立をすると、裁判所は親権者が申立時に裁判所に出頭していれば簡単に変更を許可します。この事例では、息子さんが15歳未満なので親権者である妻が子の氏変更許可申立をすることになりますが、子供が15歳以上であれば、子自身で氏変更許可申立ができます。 |
夫と別居中です。まだ離婚はしていないので、夫に婚姻費用分担として生活費を請求できると友人に聞きましたが、夫は同居していない私に生活費を渡す必要はないと言って、聞く耳を持ちません。このままだと、サラ金に借金をしなければならない状況になりそうです。どうしたらいいですか? | |
離婚していない質問者の場合、友人が仰るとおり夫に 婚姻費用分担請求をできる 場合が多いでしょう。いくら請求が出来るかは、夫婦それぞれの収入、資産、その他一切の事情を考慮して決められます。ですので、妻の方が収入が多ければ、夫に婚姻費用を払わなければならない場合もでてきます。分担義務、具体的な額について夫婦間で協議がまとまらない場合は家庭裁判所で調停、審判によって決められます 。質問者の場合、分担を急がなければならないようなので、直ぐに審判前の保全処分の申立をするのが良いでしょう。この審判前の保全処分は執行力があるので、生活費の仮払いを命ずる仮処分を得て、相手方の給与債権を差押えることができます。給与債権の差押えは通常4分の1までが限度ですが、婚姻費用の場合は2分の1まで差押えできます。さらに、婚姻費用や養育費などの扶養に関する債権は、一度不履行があると、将来分についても一回の申立てで差押えることが可能となりました(ただし、将来分については、支払期限後の定期金債権(給与等)のみが差し押さえの対象となる)。 |
夫と離婚の協議をしていますが、慰謝料の点で折り合わず、まとまりません。夫には既に付き合ってる女性がいて、その女性から離婚を急かされているようです。このままでは、勝手に離婚届けを出されそうで心配です。 | |
離婚を急ぎたい一方当事者が、相手方の署名捺印を偽造して勝手に離婚届を出すケースは稀に見られます。これを防ぐために、このような危険を感じたら、本籍地役場や区役所(市役所)に行って、 離婚届不受理の申出 をしておけば、離婚届けが受理されなくなるので(申出期間は6ヶ月)安心です。逆に、質問者が慰謝料を払って離婚する場合は、払う前にこの届けが出てないか確認すべき でしょう。払った後に、不受理の届出がでていたため離婚ができず、慰謝料だけ取られてしまったというケースもありますので。 |
離婚することについての合意は夫とできたのですが、お互い子供についての親権を譲りません。ただ、私は子供と一緒に暮らせれば良いので、親権と監護権を分けるという解決方法をとることが出来ると聞いたのですが・・・・? | |
親権は子供の身のまわりの世話をする権利である( 身上監護権 )と子供の財産を管理する権利(財産管理権 )を含んでますが、離婚の際には、前者の身上監護のみを妻に、残りの親権は夫にという定め方も可能です(離婚届には監護権者を記入する欄はないので、当事者の合意を文書にしておくのが一般です)。質問者はまさにその方法を取られようとしているようですね。しかし、これはあまりお勧めできません 。なぜなら、監護権者である妻は、子供の財産の管理のため親権者の同意が必要になるたびに元夫と連絡をとる必要があり、実際問題として精神衛生上良くないからです。例えば、監護権者となった妻が子供と海外旅行に行く場合、子供のパスポートを取得する必要がありますが、これには親権者の同意が必要です。離婚後も元夫と円満な関係を築けていれば問題はないですが、そうではない場合、この程度ことでも新たな紛争の火種となることもあるのです。 |
夫と離婚については合意できているのですが、財産分与の点で揉めています。一刻も早く離婚したいので、とりあえず離婚だけしてしまって、その後に財産分与をすることは出来ないでしょうか? | |
離婚後であっても2年以内であれば財産分与の請求をすることは可能 です。ただ、離婚後の財産分与の請求は、再び元夫との間での争いを開始する面があるので、なるべく離婚する際に解決してしまうのが良い でしょう。もちろん、ケースバイケースなので、やむを得ない場合があることは確かなのですが・・・。なお、注意を要するのは、離婚の際、慰謝料や財産分与などの名目を定めずに、解決金として夫が妻に○○円支払うこととし、妻は夫へ以後一切の請求をしない、との協議書を作成する場合 です。このような場合、夫は「文言どおり自分が支払う金銭はもうない」と考え、妻は解決金とは夫が浮気したことの慰謝料のことで、財産分与は別」との思いであったなど、双方の意図に齟齬が生じていることがあります。このようなことを防ぐため、「解決金」のような曖昧な表現は用いず、財産給付の内訳は明確に協議書に記載するべきでしょう。 |
夫の会社は、退職金が多いことで有名です。財産分与の基準となる額に、退職金は含まれるのでしょうか。また、預金などはすべて夫名義にしてきました。この点も心配です。 | |
退職金は給与の後払い的な性格を有する ことを考えると、これを財産分与の対象に含めないのは公平ではないように思われますが、夫に年齢によっては退職金がもらえるのが随分先のこともありますし、会社の倒産、懲戒解雇などによって退職金が支払われない場合もあります。そこで、退職金が財産分与になる可能性は、支払がなされる可能性に応じて決まる ようです。例えば、3年後に定年を迎え、退職金が支払われることがほぼ間違いない場合などは、対象となるでしょう。財産には、 共有財産 (夫婦の共有名義の財産)、特有財産 (夫婦それぞれの個人の財産、ex.婚姻前から所持していた財産、婚姻中相続した財産)があり、財産分与の対象となる財産は共有財産です。しかし、夫婦のどちらか一方の名義になっている財産でも、実質的には夫婦の共有といえるもの、例えば、単に夫婦の生活費を夫名義の口座に入れていた場合の預金などは実質的共有財産といえ、やはり財産分与の対象となります 。質問者の夫名義の預金は実質的共有財産にあたるでしょう。 |
財産分与として、夫と共有名義の不動産を私が夫の持分の2分の1を貰い受けることになりました。この場合、税金を払わなければなりませんか? | |
慰藉料・財産分与とも、税金がどうなるのかという質問をよくされるので、まとめてお答えします。原則として、 金銭の場合は、慰藉料・財産分与を支払う方も受ける方も税金がかかりません 。また、慰謝料・財産分与を受ける側は、不動産を受けとる以外の場合は、やはり税金を支払う必要がありません 。ただし、財産分与・慰謝料として相当な部分を越えて過大な支払いがなされた場合は、その課題な部分について贈与税を支払わなければなりません。財産分与や慰謝料が「相当」か否かはその夫婦の職業、年収、社会的地位により左右されるので、不安になったら税務署に確認するのが良いでしょう。金銭以外の財産の場合、支払う側は、譲渡所得の課税要件である「資産の譲渡」にあたり、譲渡所得を生じた額に応じて譲渡所得税が課されます。また、不動産を受ける側は不動産取得税を課されます。具体的に不動産の財産分与があった場合を例にとると、 譲渡所得×税率=不動産譲渡税 となります。譲渡所得とは、現在の不動産の時価から、その不動産を購入した額(取得額)+購入費用(登記に要した費用など)+特別控除額を引いたものです。特別控除額とは、居住用の不動産を親族以外の者に譲渡する場合に、控除が認められている3000万円のことです。したがって、不動産の時価が値下がりしているような場合には、不動産譲渡所得税はかからないことになります。 税率については、2種類あり、不動産を譲渡をした年の1月1日の時点で所有期間が5年を超えていると長期譲渡(所得税15%、住民税5%)となり、それ以下の所有期間の場合は短期譲渡(所得税30%、住民税9%)となります。 不動産を譲渡される側に課される不動産取得税は 固定資産評価額×3% となります。 |